さてここからは、「世に棲む音楽」各回のテーマとゲストについて、詳しくお伝えしてゆこうと思います。
まずは 2025/10/8(水)に行われる第1回、テーマは「ダブ:ミュートスイッチの向こう側で」です。
ゲストはミュージシャンであり映像アーティストでもあるVIDEOTAPEMUSICくんです。
マニアではない多くの方にとって「ダブ」という言葉は「何となく聞いたことはあるけど詳しくは知らない音楽の用語」という感じではないでしょうか?あるいは音楽ジャンルに興味ある方なら「レゲエに関係ありそうだけどそれだけでもない」とか、音楽をやろうとしている人なら「エフェクターとか使って、音が拡がったりするやつ」と思っているかも知れません。それらの認識は、すべてOKです。しかし僕の「世に棲む音楽」では、その認識をより厳密にしていくというよりは、ダブという音楽の作り方によって僕たちにはどんなことが見えてくるか、あるいはダブを作ったり演奏したりしている時ミュージシャンは何を考え感じているかということを通じて、ダブ以外の音楽(ひょっとしたら音楽以外)にもあてはまるアイデアを見つけていきたいと思っています。
その際カギとなるのは、ミュートということです(エフェクターを期待した人ごめんなさい)。ミュートとは、レコーディングやライブにおいて、いくつものパートからなる楽曲から、特定のパートの音をOffにすることです。Offにしてもそのパートは止まってしまうのでなく、聴こえているパートとあくまで「同期」しています、レコーディングならばトラックの上で、ライブならば演奏者の頭の中で。本来はすべてのパートが揃って曲が成り立つはずのアンサンブルからミュートによって新たな風景を作ってみようという発想は、音を足して曲のイメージを完成にもっていこうとする通常の方法とは逆の、引き算の発想です。しかしミュートによって新たな風景が生まれるためには、それぞれのパートが「グルーヴ」を持っていなければならないと僕は思っています。
ダブという音楽あるいは手法は、ジャマイカのレゲエが発展する過程で、サウンドシステムという、人々が集まってレコードで踊り楽しむ現場から生まれました。レコードといってもその元となっているのは、ミュージシャンの緊密で強いアンサンブルです。レゲエ、というか多分「ブラック・ミュージック」と呼ばれる音楽全般の演奏の特徴は、ひとつひとつのパートがそれだけでも「グルーヴ」を持っていることで、それを前提として各パートが関係し合い、全体のグルーヴが生まれます。ダブは、足りないものを感じながらノッていくという点ではある意味ひっくり返った音楽ですが、元となるアンサンブルが緊密なほどダブも良くなるという点では他の「グルーヴ」音楽と同じというか、それを代表する作りを持っていて、だから他ジャンルにも大きな影響を与え続けているのだと思います。これをミュージシャンの立場からいうと、演奏がミュートされている間に何を感じるか、どうやって他のパートと頭の中で「同期」し続けるかが、そのダブの風景を決めていく上でとても大事な要素であるということです。
「世に棲む音楽」の第1回にダブを取り上げるのは、自分が長年付き合ってきたテーマだということもありますが、音の空白部分が音楽の全体を決めているという発想は僕にとって基本的なことなので、ダブはその入口として適していると思ったからでもあります。
そう考えると、このミュートということは、音楽以外の分野にもあるかも知れないという気がしてきました。例えば映像の編集。フッテージからある部分を活かしてカットを作るということは、それ以外の部分を「ミュート」することに他ならないのではないでしょうか。ということで、このテーマのゲストにお迎えする方は、VIDEOTAPEMUSIC(以下VTM)くんをおいて他にないと思いました。もちろんVTMくんは作る音楽自体にもダブ的な展開を感じさせる場面がありますが、映像においても、VHSというフッテージから何を活かし、何をミュートするかという点において、素晴らしい「タイム感」を発揮しています。トークの中できっと、僕ひとりでは見つけられないことを見つけてくれることと思います。
当日はトークの他、実際に「ミニマルダブセッティング」を組んで、音を出しながらみなさんにダブの実際を感じてもらおうと思っています。またライブでもトークと連動して、ゴリゴリからフニャフニャまで、様々なダブを演奏してみたいと思います。
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エマーソン北村の「世に棲む音楽」Peatix イベントページ(ご予約)
https://yonisumu1008.peatix.com
イベントの詳細はこちら、エマーソン北村ウェブサイトでもどうぞ
https://www.emersonkitamura.com/schedule/2025/10/4031

